スライムハンド錯覚(Slimehand Illusion)をVR上で再現したコンテンツ。自分の手や前腕がスライムのように伸びるように感じられる錯覚がスライムハンド錯覚だが、これをVR上で再現することで物理的制約のために実験の難しかった足や腹部などへのスライムハンド錯覚の応用を試みた。
- GenreVirtual Reality身体錯覚
- PlatformMeta Quest
- StackUnityVirtual Reality
- Production Time2023/09 ~ 2023/11
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名古屋市立大学の小鷹研究室が発見したスライムハンド錯覚(Slime Hand Illusion)に焦点を当てた作品。 スライムハンド錯覚はラバーハンド錯覚としばしば同じ原理であると考えられるが、ラバーハンド錯覚とは異なり手の器官としてのイメージや位置感覚によって錯覚が起きるのではなく、皮膚の「伸びる」イメージによって生起するとされている。 であるならば、腕以外の部位でもスライムハンド錯覚は起きるはずだ、という発想から生まれた。スライムハンド錯覚はその生起条件から物理的に手以外の部位で生起させることが難しいが、VRでなら物理的制約を無視し全身で生起させられる。
開発にあたっては、Unityでの流体表現に苦悩した。球と球が近づいた際に溶け合うような表現は「メタボール」として知られているが、これをQuest上で動作させられる形に落とし込むにはいくつかの試行錯誤が必要であった。 メタボールにはパーティクルとしてのアプローチ、レイマーチング(距離関数)を用いたアプローチ、格子を用いて頂点を計算するアプローチなどが存在する。 このうち、Quest3上で十分なFPSが確保可能で、コライダーを用いた衝突判定が容易、およそ20個ほどのメタボールの集合体が体験者の手として認識される程度のクオリティが出せるもの、という条件でいくつかの手法を試し、最終的に格子を用いて計算するアプローチを用いた。